ピアノと音楽

ブルース・リウとセミと幸福なショパン

www.youtube.com Youtube で視聴できるブルース・リウのインタビューは、フランス語のものは時々チェックしている。 ついでに複数言語における、自動音声翻訳の処理の進化を2年前から定点観測している。 ところで、ショパン・コンクールの覇者になることは…

カルメンの呪い

四半世紀くらい前、遠縁の仲良しが研修医として北海道の病院に赴任していた。 ある日遊びに行くことになり、私は妙なルートを選択した。 茨城の大洗という所からフェリーで苫小牧に行く方法だ。 当時は船が異様に好きだったのだ。 クルーズ船でもフェリーで…

ファビオ・ルイージのキアーラなイタリア語

2022年秋からNHK交響楽団の首席指揮者に就任したファビオ・ルイージ氏。 私は専らバロック音楽が好きなのでこのジャンルにはあまり詳しくない。 それでも(バブル時代だった)子どもの頃はちょうど業界から故ヘルベルト・フォン・カラヤンの影響力が…

バブル時代に聴いたブーニンのピアノ

以前ピアニストのスタニスラフ・ブーニンについて記事を書いた時、書こうかどうか迷って書かなかったことがある。 それは、私がブーニン氏ご本人を見かけた時の話だ。 ピアノのリサイタルとか、音楽が関わる場所ではない。 どこかというと、自転車に乗ってい…

通訳泣かせ案件と10人のリンゴの絵

朝日カルチャーセンター講座「ブルース・リウ流 音楽のつくり方」配信視聴 「音楽は音楽以外の何ものも表現しない」 このストラヴィンスキーの言葉は、ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』を想起させる。 「音楽は世界に存在するイデアの模写で…

『リバーサルオーケストラ』とピアニストブーム

清塚信也氏の「虚像」 日本テレビ2023年1月期水曜ドラマ『リバーサルオーケストラ』を何となく見続けている。 きっかけはチャイコフスキーの交響曲第5番を編曲したテーマ音楽だった。 TVer が存在しなかったら毎回続けて観ることもなかったと思うが、すき間…

ブルース・リウによる変奏曲 à la Don Juan

">★この記事は note で公開していたものを再編種、再掲したものです。 "> 言葉遊び(=レトリック)としての「ラ・チ・ダレム変奏曲」 2021年に開催された第18回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝者ブルース・シャオユー・リウ(Bruce Xiaoyu Liu)さ…

ノスタルジックなショパン ー Google翻訳の限界点

"We could talk about Chopin all day. In a few words I think he was noble, nostalgic, shy, patriotic." 2021-10-21Bruce (Xiaoyu) Liu: ‘The most difficult thing in being a pianist is to keep the freshness, inspiration, and creativity’© Narodo…

東京オペラシティ(初台)のベストシート

まだ叶っていない私の夢は、ドイツのバイロイト音楽祭でリヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指輪』を全幕4日間ぶっ通しで観ることだ。 でも、先日から1週間に3度コンサートホール通いをして「無理かもしれない」と思い始めた。 クラシックのコンサ…

カナダメディアが伝えるブルース・リウ

">★この記事は以前 note にて公開していたものを再編集し転載しました★ ">2021年に開催された第18回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝者ブルース・シャオユー・リウ(Bruce Xiaoyu Liu)さんについて、地元カナダ、ケベック州モントリオールのメディア…

ファツィオリとスタインウェイの違い

3年前にコロナ禍のせいで公演キャンセルになった歌手の来日公演が来週開催されることになった。 運の良いことに、私は今月が誕生日なので身内がコンサートチケットをプレゼントしてくれた。 デジタルデトックスをしていた私は、その公演のことも知らなかっ…

芸術家とプロパガンダ

ふだんの社会生活においては意識的、いや無意識でも避けている類の事柄がある。少なくとも日本においては。 それは政治、宗教、信条といった関係の話題だ。 外国のことは良く知っているわけではないが、イギリス人の友人は余程に必要性と文脈の中でしか政治…

クラシック界の「二刀流」とロン=ティボー ファイナル前

「二刀流」が許されなかった時代 学生時代、自分の専攻とは違うジャンルにも興味を持っていろいろ手を出していた。 指導教授から、 「ひとつを専攻する(選ぶ)ということは他をあきらめることだ」 とたしなめられていた私は間違いなく「不良学生」だった。 …

ロン=ティボー国際コンクールと音楽人生

ロン=ティボー国際コンクールピアノ部門 現在、フランス・パリでロン=ティボー国際コンクール(le Concours international Marguerite-Long-Thibaud-Crespin ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール)のピアノ部門が開催されている。 11月10日(日…

ブーニン・フィーバーと女性ファンの思い出

週末土曜日の深夜からブログへのアクセス数が急上昇した。 何のことかと思ったら、先日書いた「バブル時代のブーニン」に言及した記事への検索サイトからの流入だった。 prerougolife.hatenablog.com NHK で放送された「それでも私はピアノを弾く ~天才ピア…

バブル時代のブーニンと餓死しそうになるまで食べないものの話

先日 NHK でピアニストのスタニスラフ・ブーニン氏の番組が放送されていた。 私は子どもの頃、彼のリサイタルに行ったことがある。 当時の日本はバブルで、ショパンコンクールで一躍脚光を浴びた若いブーニン氏はピアノを聴いたことがない人まで熱狂した社会…

「お悩み別」暇つぶしにお勧めのオペラ3選

前回の記事と「歌」つながりで「暇つぶしにお勧めのオペラ作品」。 1曲で2〜3時間はつぶせるのでコロナ禍以降頻発するようになった突発的な「空白の時間」にも丁度良いのではないかと思う。 お勧めの3つのオペラは、それぞれ「お悩み別」でセレクトしてい…

「郷ひろみ式」ピアノ上達法?

コロナ禍になってピアノを習い始めたり昔習っていたのを再開したりという人は多いと思う。 予定がキャンセルになって時間の空白が生まれた体験はほぼ初めてだった。 そんな時ピアノはちょうどいい趣味だと思った。 自分の場合は以前から気が向くとピアノを弾…

カナダ先住民とラモーの「野蛮人(Les Sauvages)」

★この記事は note で公開していた内容を再編集したものです。また本記事においてはいかなる政治的意図や立場も排除しておりますので予めご了承ください。 バンクーバーオリンピックの思い出 子どもの頃、アイススケートが好きでよく滑っていました。 浅田真…

必ず眠くなるグレン・グールド

子どもの頃、不眠で悩み、悩んで不眠になっていた親が、 J.S バッハの「ゴルトベルク変奏曲(Goldberg-Variationen)」のCDを聴いていた時期があった。 かのグレン・グールドのピアノ演奏だった。 どうして親が「ゴルトベルク」を聴いていたのか分からないが…

バッハの沼から抜け出せない

コロナ禍のせいで、今までの人生にはなかった突発的な「空白の時間」が発生するようになった。 最初は「ステイホーム」によるものだったが、その後は「濃厚接触者の濃厚接触者かもしれない」のパターンが増えた。 はじめの頃は慣れなかったが、この「空白の…

老後に備える趣味リスト

自己紹介の補足です。 prerougolife.hatenablog.com 個人的には「貴族趣味」の真骨頂は「そこそこやる」だと思っています。 時にはサボり、時には励み、ある時はやめようかな?と思ったりしながらも、完全にはやめてしまわないで、何となくつなげていくって…