【乗馬日記】
9月は雨の多い月だったので、乗馬はあまりできなかった。
先日、約2週間ぶりに乗ったが中10日以上空くと鞍を持つのもちょっと重く感じて若干よろめく。
身体も充分になまっていて、コロナ前にジムに通っていた頃の軽やかさはない。
でもその日乗る CL ちゃんの馬房の前に行くと「おーひさしぶりじゃん」という表情でフレンドリーに迎えてくれた。
今年の夏は死ぬほど暑くてほとんどの人間には辛い夏だったと思うが、人間よりも馬のほうがもっと辛かった。
CL ちゃんはそんな酷暑に耐え、食欲もあったが時々機嫌の悪い日や魂が抜けたようにぼーっとしている日もあった。
最近はようやく少しずつ涼しさを感じるようになったのもあるのか、様子も元気そうだった。
フワフワのミトンで顔を撫でるとすごく気持ちよさそうに目をつむる様子がうちの猫にそっくりだ。
正直、自分の方が体調があまり良くない気がして、馬に乗ったらフラフラになるのではないかという恐れがあったが意外と調子は悪くない。
これが乗馬の不思議なところで、これほど身体がだるいような時はどんなスポーツでもきつく感じるのだが、馬に乗せてもらうとそうでもない。
CL ちゃんはすごく真面目な子なので、並足、速足、駈足とすいすい走ってくれる。
駆足はしっかり上下に躍動するようにという先生の言葉を体現するのに神経を集中する。
馬がそれぞれの歩様で4拍、2拍、3拍で走るのはすごく自然な動きだが、騎乗者は何もしていないように見えなければ美しくない。
そしてハミ、手綱、騎座、頭のてっぺんからつま先までがすうっとつながらなくてはならない。
乗馬を始めた頃は、手綱の握りの強さはミリメートルとか数グラムとかの微妙な匙加減だと聞いても何のことかわからなかった。
まだまだそこまでの精緻なコントロールはできないが、できるようになるべく努めている。
拳をわずかに握ったり、緩めたりしているのはほとんど感覚だけの世界だと思う。
乗馬のイメージはおしゃれ、とかセレブ、とか、ウエスタン乗馬だったら大胆とかワイルドというのが一般的だと思う。
でも実際は派手さは微塵もなく地味だし、神経質なスポーツだと思っている。
おしゃれな乗馬服を着ても馬場の砂や泥、手入れ時には水がかかったり馬にこすられたりしてすぐに汚れてしまうからむしろ作業服的な服の方が向いている。
夏は馬ともどもアブに刺されたり、急な雨でずぶぬれになることもある。
一番みじめになるのは、騎乗後ヘルメットをとった後の髪の毛だ。
取り返しがつかないようなクセと圧によるぺったんこ感がすごい。
それでも最後に馬にお礼とご褒美のにんじんをやって嬉しそうな顔をされるとかわいくてたまらない気持ちになる。
それに騎乗前はあれほどだるかった自分の身体が軽くなっているのを感じる。
久しぶりに会って乗せてもらった CL ちゃんは最後までお利口で愛らしかった。
はやくもっと涼しくなって馬にも人にも快適な季節になってほしい。