乗馬を続けて良かったこと

【乗馬日記】

ようやく涼しくなってきたので、外に出ることが苦行でなくなりつつあり喜ばしい。

先日乗らせてもらった W くんはとても性格が優しくて人気者だ。

見た目もかわいくてまさに「キュン」なので「アイドル」的な存在だと思う。

時々 W くんの馬房で熱心に写真撮影している人を見かけるから「キュン」なのは自分だけではないようだ。

馬も犬も猫もそうだが、人間と同じくらいみんな性格が違う。

優しいタイプと厳しいタイプ。

敏感(神経質)なタイプと鈍感(雑)なタイプ。

気の強いタイプと気の弱いタイプ。

大人しいタイプとやんちゃなタイプ。

引っ張っていくタイプと誰かについていくタイプ。

まじめなタイプといいかげんなタイプ。

etc.

こうした要素の組み合わせによって、色々な特徴がでてくるような気がする。

W くんは何と言っても「優しい」が一番にくる。

馬の中には人によって態度を変える子がわりといる。

厳しそうな大人の男性には従順だが、子どもを下に見てナメたりいじわるをする子もいる。

W くんは子どもにも優しいから、根っから優しい子なのだ。

そんな W くんは血統馬でおじいさんは「名馬」だったらしい。

現役時代はほとんど走らなかったようだが、乗馬に転向した今見ていても、元競走馬だったとは信じられないくらいおっとりしている。

ちょっと心がやさぐれている時 W くんに乗らせてもらって手入れをするうちに心のトゲトゲもとれてくる。

そんなスーパーホースな W くんは騎乗中もとっても素直で良い子だ。

ただ「神経質」で「気が強い」性格の子と比べると「ちょっと怠けたい感」が伝わってくることがある。

性格が険しく神経質なタイプの子の方が、騎乗するとすごい集中力と没頭力を感じることが多い。

W くんはやっぱり競馬の頃もあんまりやる気なかったんだろうなと思っている。

人でも馬でも長所は短所、短所は長所なのかもしれない。

 

私は乗馬を始めてから(ブランクもあったが)トータル十数年で相方は10年になる。

私は元来動物好きだが、相方は私が飼っていた猫と同居するようになって初めて動物と触れ合うようになった人間だ。

10年前に九州に旅行に行った時、外乗(がいじょう)でもしようということになった。

相方はその時初めて乗馬をしたのだが、ガイドの人が「大丈夫そうですねー」と言って駈足までやった。

普通は、並足→速足→駈足の順で習得していないと危険なのでやらないのだが、なぜか相方は平然と駈足する馬に乗っかっていた。

駈足が何か知らなかったので、馬はそう走るものだと思っていたらしい。

よく落ちないものだな、と思った。

相方はそれがきっかけで始めて10年になる。

傍で見ていて一番驚いたのは、馬と触れ合うことで相方の心の中に人間的な情緒や動物を「カワイイ」と思う気持ちが芽生え育ったことではないかと思う。

変化の途中で気づいたのだが、昔はもっと何か「AI」っぽい人間だった。

だから人間らしい感情表現に乏しく、そういう感情があるかどうか不明な部分があった。

決して「カワイイ、よしよし」とかいう人間ではなかった。

乗馬を続けて良かったことは、身体が鍛えられることにもまして、感情が豊かになったり、気持ちが癒されたりする面が大きいと思う。

みんな性格もさまざまな馬たちが、同じようにみんな性格の違う人間のことを大らかに受け入れてくれるからかもしれない。