「カタカナ英語」を見たり聞いたりすると困惑することが多い。
カタカナは昔からあるが、最近でも増え続けている。
カタカナを見ていると、原語の音や意味が吹っ飛んでしまう現象が起きる。
ある日、珍しくちょっとしたパーティーみたいなのがあった。
「ホスピタリティー関係の仕事です」
と初対面の人に言われて「ホスピタリティー」が英語の "hospitality" に結びつかなかった。
「ホ・ス・ピ・タ...」「ホスピタル...?」と大混乱に陥った。
相手は私を見て
「なんだ、ホスピタリティーも分からないのかコイツは!」
みたいな顔をしていた...
その後も、ちょっと長めのカタカナ英語を聞いたり見たりするたびに
「ゲシュタルト崩壊」
みたいなことが起きる。
そんな私にとって今でもゲシュタルト崩壊しそうになる一番が、
と
「シャルル・アズナヴール」だ。
前者は言わずと知れたガンダムの登場人物で、後者はフランスの俳優、シンガーソングライターだ。
アルファベットのつづりは、
「シャア・アズナブル Char Aznable」
「シャルル・アズナヴール Charles Aznavour」
となる。
これのどちらかの名前が出てくるととっさにガンダムか歌手か、分からなくなって苦しむ...
ちょっとおかしな話なのだが、シャア・アズナブルのWikipwdia には、
なぜ「シャルル」が「シャア」になったか?
という問題提起がされ、2つの「説」が挙げられている。
ひとつは「もじった説」でもうひとつは「シャー」という効果音という説だ。
でも多分それはちがう。
それは「カタカナ」のせいなのだ!
フランス語の「Charles シャルル」の発音自体が「シャア」なのだ。
だからもじったでも効果音でもない。
日本語だと「シャ・ル・ル」と3音節だが、フランス語だと「シャ(ア)」の1音節になる。
だからシャルルさんという名前の人は日本で「シャ・ル・ル」と呼ばれるとちょっとありえなくて驚愕するか、大ウケすることが多い。
それはともかく、音としては「シャア」=「Charles」であることは間違いない。
だから、
「シャルル」が「シャア」になったのではない。
「シャルル」は元々「シャア」なのである!
これからはみんな「シャルル」は「シャア」と呼んだらどうだろう?
「アズナブル」と「アズナヴール」の違いは "b"と"v" だが、日本語には元来これらの音の区別はない。
ちなみに英語ードイツ語間では"b"と"v" が入違っているつづりが結構あるし、スペイン語では区別がなくなっている。
"r"と"l"の区別も日本語にはない。
だから「アズナヴー」と聞こえたのが「アズナブル」になったとしても不思議はない。
”Charles ”は「シャア」なのに「シャルル」になってしまう我がニッポンのニホンゴ!
どんなに音がかけ離れていても「ホスピタリティー」みたいな「カタカナ」が絶対的な支配をしている。
明治時代に"baseball" を「野球」と訳したように、しっかりと日本語に訳した方がよくないか?
日本語と外国語の間に立ちはだかる「カタカナ」の壁。
これは外国語習得の障壁にもなっているのではないかといつも思っている。