私は長らく多言語(主に英仏伊)で仕事をしていたとはいえ、今ではかなり錆びついてきている上に、最近では母語の日本語でのビジネスのやり取りにもつまずく有様だ。
それでもいつかまた、外国語を駆使して生活する希望を捨てたわけではない。
コロナ禍と世界情勢の影響もあり、このところは暇つぶしに仕事をしながら、相方にとっての「ハドソン夫人」(シャーロック・ホームズの下宿の主人)のような役割に甘んじている。
しかし、これまで覚えた外国語をブラッシュアップしたいとは思っている。
だから外国語を話す有名人(特にマルチリンガル)には常に注目している。
本記事では今までに見聞きした「外国語を話す」人たちの中で、私が格別上手だと思う方々を挙げたい。
外国語(多言語)が流暢な有名人の中でも、サッカー選手は数えきれないほどいるが、今回はサッカー選手は除外した。
また、単に外国語を喋っているとか、発音が良いだけではなく、話している「内容」のレベルが高いと感じる人にした。
①鶴竜親方の日本語
「外国語が堪能な人」というと真っ先に浮かぶのは、元横綱の鶴竜親方だ。
私は大相撲中継が大好きで、家にいたら忙しい時でもテレビをつけていることが多い。
「今日の解説は誰かな?」と声で判別するのだが、鶴竜親方の日は、親方がモンゴル出身だということはほとんど思い出さない。
それくらいナチュラルで、説得力のある日本語の話し方をする。
はっきり言えば「あまりしゃべりが得意ではない日本人の親方」よりもずっと流暢な日本語だ。
こちらの、日本相撲協会の広報がリリースしている YouTube チャンネルの動画では、ファンから寄せられた日本語のコメントを読みながら、話している。
言葉や話し方も知的で本当に尊敬する。
②高田万由子さんの英語
夫の葉加瀬太郎氏とともに BBC のインタビューに答える貴重な映像。
高田万由子さんが英語を話しているのはこの動画で初めて見聞きしたが、とても posh なイギリス英語だ。
「聴く力」も素晴らしく、インタビュアーと葉加瀬氏との間に入って絶妙な話し方をしている。
何より、単に発音が良いだけではなく、内容も濃く、それを分かりやすく面白く、そしてテンポよく話している。
③香川照之さんのフランス語
YouTube で動画を探したのだが、見つけられなかった。
私が香川氏がフランス語を話しているのを聞いたのは、民放のテレビ番組だった。
たしか番組の企画で、フランスの洋服店に「昆虫の柄のTシャツ」だったかを販売してもらえないかと交渉する、といった趣旨だったと思う。
香川氏は女主人(か販売員)に、強引にお願いをするのだが、そのフランス語の「ゴリ押し」が見事だった記憶がある。
最初は苦虫を嚙み潰したような表情だった相手の女性が、最後の方ではニコニコ顔になっていたのが印象的だった。
発音の訛りは強いが、強面も笑ってしまうほど「話術」が巧みだ。
芸能人には「フランス語ができる」と言われている人は多いが、ここまで駆使できる人はほとんど見たことがない。
でも「例のスキャンダル」のせいか、このエピソードに関する動画はまったく見当たらない。
最後に、最近テレビで聞いて心から驚いたのは、「ルフィ」事件絡みでニュース番組に出演していた
④ 「闇の世界を知る関係者」
この人はおそらく日本人で日本語を話していたのだが、かなり驚いた。
闇の世界の「上」にも「下」にも精通しているというこの人物の話し方が、実に理路整然としていて知的だったのだ。
「知性の高さ!」と思って聞いていると、彼はこう言った。
「・・・それで、犯罪のプロも素人も『呉越同舟』の状態になっているわけですよ」
「呉越同舟」って言葉をすらすらと日常会話で使いこなしている人には最近会ってない。
「教養」がなければ、ナチュラルに口に出てくる四字熟語ではないだろう。
一体どういう素性の「関係者」なのだろう?
興味をひかれると同時に、「四字熟語のブラッシュアップもしなければ!」と自らを省みた。
以上、外国語を使って仕事をしていた私が選ぶ「本当に語学堪能な有名人+α」。
彼らに刺激を受けて、現在の境遇でも語学の勉強を続けたいと思っている。